静岡県熱海市の大規模な土石流災害は、起点周辺にあった開発による「盛り土」が原因とされている。この盛り土の存在をその日のうちに突き止め、翌日の県の発表につなげたのは、発生直後に集まった有志の専門家グループだった。
静岡県建設政策課の杉本直也さん(49)は、3日午前10時50分ごろ、外出先で土石流発生のニュース速報を目にした。
前日から、伊豆半島では土砂災害による通行止めが発生していると伝えられていた。土木技術職で採用され、過去にも土石流災害の対応を経験していた杉本さんは「被害が広範囲に及ぶのでは」と感じた。
発生6時間、有志チーム結成
すぐに以前から付き合いがあった土砂災害や地質、データ分析の専門家らに声をかけ、発生から6時間ほどたった3日午後3時半ごろ、フェイスブック上に産官学の専門家による有志グループ「静岡点群(てんぐん)サポートチーム」を立ち上げた。杉本さんが直接連絡を取ったり、そのメンバーがさらに声をかけたりしながら広がり、最終的に16人が集まった。
とにかく被害の全体状況を把握しなければならない。杉本さんら県担当者が考えたのは、チーム名にある現場付近の「点群データ」の活用だった。杉本さんが所属するイノベーション推進班は、その点群データの活用を推進していた。
点群データは、道路や地形…
この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。
残り:1625文字/全文:2186文字
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル